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NO.45“ウッドハンマー”

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 白の一色に覆われ、冷えきった空気が張り詰めた樹林の中で、巨体が蠢いていた。
 自らも雪の色を被った大木であるかのようなその姿は、自分を囲む木々のうちの一本に、抱くように腕を回していた。
 その姿――雪山の主とも呼べるようなユキノオーが、直後に震えだした。同時に、岩肌を強引に引き剥がすような軋みの音が静かな雪林に深く響き始める。
 と、ユキノオーが抱えている、その体長の数倍はあろうかという巨大な針葉樹が、同調するように震えだし、次第にその身を傾いでいく。
 繊維を引きちぎるような音が雪の中に加えられるのに、それほど時間は掛からなかった。その音は、樹の根元が半ばから折り断たたれる際に生じたものだ。
 天を突くように伸びていた一本の針葉樹が、今やその身を横たわらせる勢いで傾き、それをユキノオーの両腕が支えている。尖った葉から振り落とされる雪は、まるで局地的な豪雪のように林の中に落ちていった。
 ユキノオーの身体の震えが一層激しさを増し、それが腕に集約されていく。まるでその振動を具現したかのように、豪腕の周囲に深緑の光が生まれた。それが、合図になった。
 巨木の重みを全身で受けるユキノオーは、一度腕を体ごと背の側に仰け反らせる。軋みと振動がさらに広がり、巨体の足下が重量で雪に埋もれていく中で、反動を得たユキノオーが地を割るように吠えながら身を戻した。
 そのまま、体重は前へ、腕もまた、前方へ。振り下ろす動きが、そこで生まれる。
 腕に生まれていた深緑の輝きが、そこで弾けた。巨木がユキノオーの両腕から、発射された。
 長大な槍のような針葉樹が、空気を割るような速度と質量を携え、根元から飛ぶ。
 一連の様子を眺めるように立っていた周囲の木々を割り砕く音と振動の連続に、張本人たるユキノオーは脱力した体を振って顔を顰めた。


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・あとがき

 大針葉樹さんかわいそうに……な、もう何回目か分からないかわいそうにシリーズです。自然破壊シリーズとも言えます。
 ウッドハンマーって以前にユキカブリが使うのを描写したことがありまして、そのときはフツーのパンチに「木々の生命力のような大きな力を込めた腕」だとかの描写を付けたんですが、今回は木そのものをハンマー(と言えるんでしょうかコレ)にしてみました。並みのポケモンが食らったら非常にヤバそうですが隙がありすぎて乙な気もします。
なんとなくこのワザ、威力100くらいだと思ってましたが、立派なすてみタックルのお仲間なんですよね。対戦でのユキノオーのコレは結構怖いです。
 

テーマ : ポケットモンスター
ジャンル : ゲーム

NO.23 “アロマセラピー”

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 テラスを流れていく風は、今日も体を心地良く撫でていく。花壇の植え込みや遠くの地面に生える草木も、吹き流れる風によって息づいているかのように揺らいでいる。
 私が座っているのは、そんなテラスの傍ら、白いテーブルセットのうちの一つ。店内に近いこの場所は、私の定位置だ。テーブルの上で座るように身を落ち着けているナゾノクサも、風に揺られて気持ちよさ気に目を細めている。

 そんな私の傍らで、ひとり立つ姿がある。肩を越えて流れる髪が、風を受けてひそやかに靡いている。両方の腕で銀色のトレイを前に抱える彼女は、囁くように静かな声で言葉を発した。

「静か、だね」

「ええ、本当に。風が草を撫でる音をこうして聞くことができるのは、ここだけです」

「ふふ、ありがと。お店としては、こう静かだと喜んでもいられない、んだけれど」

 微笑んで、ため息をつきながら、彼女は眉を落としてそう苦笑する。
 あなた自身としては? と聞いてみたかったけれど、私はその言葉の代わりにこう言った。

「また、良い香りになりましたね」

「それって、どっちの?」

 私の前にあるのは、ひとつのティーカップ。湛えられた紅茶は、今日も深い色合いを私に見せていた。手に持って近づけると、芳醇な香りが私の心を優しくくすぐった。
 けれど、風そよぐこの場に、もうひとつの香りが漂っている。幼いころに摘んだ花のような甘さと、この店の花瓶に差してある花のような爽やかさを併せもった、そんな香り。
 その香りは、静かに立つ彼女の肩から、発されていた。
 正確に言えば、そこに乗った、ひとつの花。さらに的確に言い換えると、薄い黄色の花を頂いた、黄緑色の丸々とした姿――彼女のポポッコから、だ。
 大きな耳が、ぱたぱたと上下に揺れる。合わせるように大きな花も穏やかに波打って、その合間から、細やかな光の粒が流れ出ている。小さな花びらにも見えるそれは、私と彼女の中を通って、風に溶けていく。通り行く空の道に、その艶やかな香りを残しながら。

「……どっちも、でしょうかね」

 彼女が私に与えてくれる、二つの香り。
 交じり合ったそれらは、私に言い様のない居心地の良さを与えてくれるのだった。

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・ひとこと

 あ、よし。ここでやめておきましょう。なんか軽く掌編クラスに発展する恐れがありました。雰囲気の好みっぷりから。百合さいこ(ry
 本当は“アロマセラピー”の香りが魅力的だと言ったお客の女の子の言葉にお店の彼女のほうが「この子はこの香りを楽しむためにここに来てくれてるんじゃないか」と思ってちょっと沈むんですがその後に女の子が「たとえこの香りが無くたって、私はあなたの紅茶を~」とか云々かんぬん言って、でも本当はアロマセラピーも紅茶も無くったって、彼女と静かに過ごせればそれで構わないって思ってるんですがそれは言えないっていう風にしようかと思ったんですがやっぱり止めておいてよかった気がします。しかし百合さいk(ry

 実はこのワザ、エフェクトを調べてないので非常に適当に仕上げております(!)。明らかに違ってたら、まぁそこはオリジナル解釈っ! ってことで。はい。すいません。
 目を覚ますためにゲーム的なことを喋らせていただきますが、あんまり私、このワザを実戦で活用したことはありませんです。マヒややけどを食らうと終了なこともありますから、耐久力の高いポケモンが持ってれば便利な気はするんですが(ハピナスとか良さそうですね。つーか調べてみて覚えると知って驚きました)。ただ、6vs6向きですかね。私はパーティ構築や戦術が苦手で66はほとんどやらないので、これからも使う機会は無いかもしれません。お、おバカって言わないでっ!

 ……ちくしょうコレマジでシリーズ化して書きt(ry

テーマ : ポケットモンスター
ジャンル : ゲーム

プロフィール

ぱすてぃ

Author:ぱすてぃ
ポケモンと百合に熱を注いでいる人です。当面の目標はオリトレの百合長編を書くことですがいつになるやら。

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