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NO.7 “アクアリング”

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「ねーチョンチー、お願いなんだけど…… “アクアリング”に入れてくんない? わたしのこと」

 あ、ポカーンって顔された。口かわいいなぁ、この子。って、まぁそれは置いといて。

「いやね、あのね、あれほら、“アクアリング”ってさ、体力回復するんだよね、だんだん。つまりこう、疲労回復だよね」

 わたしが説明すると、最初は頷いていたけど、すぐに首……っていうか体を傾ける水色のまるっこい彼。よく分かっていないみたいだから、理解してもらうためにも、わたしは言葉を続けた。

「その、わたしも最近疲労溜まっちゃってる? 感じでさ? ほらほら、モンスターボール投げたりすると肩凝っちゃうっていうか? チョンチー、いっつも気持ちよさそうにしてるから、わたしもちょっとだけソレ体験してみたいなー、なんて。……ムリそう?」

 確かに疲れてないわけじゃないけど、別にそんな中年のおばさんみたいな悩みが溜まってるわけじゃなかったりする。つまるところ、一番の理由は興味。好奇心。なんだけど、意味もなくチョンチーにわがまま言うのもどうかな、と思ったからこんなことを言っているわたしだった。いや、結局意味とか特にないんだけど。
 でもさ、不思議なんだよね。あんな水の輪っかが体の周りで止まってることがすでに謎だし、しかもその中にいると回復までするって、なんかもういっそ卑怯なレベルで不思議だよ。
 というわけで、その不思議を身をもって味わいたいなーって、そう思ってるわけです、わたしは。
 と、チョンチーから返答がくる。えーっと、二本のちょうちんを自分の頭にもってきて、さらにわたしの方へそれを向けて、それから二本で……バッテンを作られちゃった。

「えーっと、ダメ……ではなく? うーん? つまり……あ、自分にしかできないってこと?」

 首を振って、もう一回自分自身に触角のように伸びる光を当てるチョンチー。その動きから出したわたしの答えが、見事にビンゴだったようで。チョンチーは相変わらずちょっとだけ開いた口のまま頷いた。
 なるほど、確かにそうだ、そうだった。“アクアリング”って自分にしか使えないってワザだったよね。……となると、わたしが入るのはムリかなぁ。…………いや、そうだ!

「チョンチー、“アクアリング”っ! ……あ、自分にでいいから!」

 思いついたことがあり、さっそくチョンチーにリングを出してもらうことにする。でもチョンチーの言うとおりに、あの子自身にだ。
 戸惑いながら、それでもチョンチーは光の触角を左右にピンと伸ばして、くるりとゆっくり回転する。
 すると、体から張り出たその触角をペンとして描いたみたいに、空中に透明な輝きが……管みたいになった水のかたまりが生まれた。一回転の中で両方の触角がお互いの作った水をなぞって、透き通ったフラフープのような水の輪っかが、チョンチーの周りで浮かび始めた。
 やっぱり、いつも見てるけどかっこいいしかわいいなぁ。よし、それじゃあ、

「しつれい……っと!」

 声と一緒に、わたしはチョンチーの目の前でかがんで、アクアな輪っかに引っかからないようにして……リングの内側、チョンチーのところに潜りこんだ!
 びっくりして声を上げるチョンチーに「ごめんごめん」と言いながら、長マルみたいなかわいい体を抱きしめる。胸に抱えてちょっとチョンチーの位置が高くなると、“アクアリング”も一緒になって高い場所に動いてきた。
 さらに、チョンチーを胸に抱いたまま前に、右に、左に歩くと、透き通った水の管も、わたしたちを抱き囲むようにして同じようについてくる。水でできてるだけあって、内側にいるわたしの元に、プールに入った時みたいななんとも心地がいい涼しさが運ばれてくる。
 うわぁ、どうしよ、上手く行っちゃった。リング入り成功だよ!

「すごいすごいっ! ……けど、回復……はしないねぇ。あ、チョンチーはしてるの? 疲労回復なの?」

 考えた通りに自分の望みがうまーく叶ったのは良かったんだけど。そうそう、カンジンの回復がなんだろう、ちょっと分からないね、うん。
 最後でまた体をひねられちゃったけど、チョンチーはとりあえずバリバリ回復中みたい。よく見たら、“アクアリング”とチョンチーが、どっちも同じような青い光に包まれてるね。これ……わたしには出てないよねぇ。
 そっか、チョンチーが出したものだから、やっぱりチョンチーにしか回復は行かないのかぁ。残念だねぇ……いや、そうだ!

「ありがと、戻っててチョンチーっ!」

 またびっくりして声を上げるチョンチーが、わたしの取り出したモンスターボールの中に吸い込まれていく。
 そうだよ、チョンチーに戻ってもらえば、後に残るのは『“アクアリング”に入ったわたし』だけ! つまりあの青い光が、わたしにも来るってことじゃないかな! わ、われながらすごいナイスアイディア……!
 すぐに、赤と白のボールの中にかわいいチョンチーの姿が消える。残された“アクアリング”は、わたしの胸の位置でそのまま止まっていて……

「ひゃっ!?」

 とつぜん、はじけるみたいな音がしたと思ったら服が重くなって……って冷たい冷たいっ! とにかく冷たすぎる!
 ……うう、チョンチーいなくなったらいきなり輪っか消えちゃうなんて。服もびしょ濡れだし、回復どころかって感じだねぇ……。



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◇ひとこと
大学で暇だったのでシリーズ、その4。全体的には第7弾の“アクアリング”をお送りします。
誰かこのお間抜けさんを止めてやってください。
今回もまた、プチストーリー的な感じですね。でもって初の一人称形式+ポケモンとの対話があります。
基本的には、私は今回のような一人称でものを書くことが多いです。書きやすいんですよね。
でもって、ポケモンとのかかわり方のスタンスもついでなので述べておくと。
基本的に、『ポケモンはしゃべれない。ただし、人間の言葉は理解可能』という感じです。ポケモン→人間の意思疎通が厄介な設定ですね。まぁそこは、トレーナーとして交流を深めていく過程で理解できるようになるということで。
さて、次回はアレなんですが、どうしましょう。かっこよく行くべきですかね、やっぱ。
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テーマ : ポケットモンスターHG・SS
ジャンル : ゲーム

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ぱすてぃ

Author:ぱすてぃ
ポケモンと百合に熱を注いでいる人です。当面の目標はオリトレの百合長編を書くことですがいつになるやら。

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