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NO.58 “おきみやげ”

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「……“おきみやげ”、頼む!」

 口の中に感じられる粘りつくような苦みを噛みつぶしながら、おれは言い放った。
 声は、おれの視界の先、空中で浮かんでいるあいつの丸い背中に届く。わずかに震えるように跳ねたその背中を見て、おれは少なからず後悔する。だが、もうその言葉を戻すことなど、できはしなかった。
 あいつはーー暮れかけの夜のような暗い紺色をした丸い体から、両腕と頭の上に雲のように白く丸い綿を伸ばしたおれのワタッコは、力なく垂れていたしっぽを今一度、とばかりに張り直し、下がっていた綿の腕を静かに持ち上げる。
 おれとワタッコ、二人して見据える先に、剣のように尖った腕の先に爪を鈍く光らせている、ガブリアスの姿がある。“げきりん”で散々暴れた後、前後不覚の状態。狙うなら、やっぱり今しかなかった。
 ふわふわと勢いなく、だが確実に、ワタッコは風を乗り継いでガブリアスの目の前まで到達する。そこであいつは、残った力を振り絞るようにして腕と頭の先を張って見せた。
 すると、その先にある丸い三つの綿が、ほのかに輝き出した。ガブリアスがその異変に気づいた時には、雲のような綿を内部から照らす光は一層強くなり、綿が膨らんでいるかのような錯覚をおれに起こさせる。
 妨害しようと振り上げられたガブリアスの爪がーーけれど、よろめいた体ごと空を切る。ワタッコはその全身まで光に包まれ、中から揺さぶられるように震えて、直後にーー力を失って、音もなく地面に落ちてしまった。
 突然の出来事に、ガブリアスは尖った頭を傾けてから、再び腕を持ち上げる。ワタッコに、とどめを刺すつもりだ。
 だけど、おれは慌てない。何も言わず、けれど歯を食いしばって見るのは、倒れたワタッコが宿していた光の塊だ。
 それはまだ、倒れたワタッコのすぐ頭上に、ガブリアスの目の前に残っていた。光を気にしていないのか、一歩踏み込んだあのポケモンが、光に触れる。
 その瞬間に、光がひとりでに動いた。まるでワタッコが乗り移ったかのように、丸い形を残しながらガブリアスに纏わりつく。
 振り払うように、ガブリアスが翼の腕をばたつかせる。だがその動きは、あいつ自身が違和感を覚えるくらい遅く、やわに見えるものになっていた。
 残してもらった力を、無駄にはできない。モンスターボールを握る右手に、そっと力がこもった。

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・ひとこと

 とっても長いのはたぶんワタッコのせいです。ワタッコマジ嫁です。
 実は先日、携帯テキスト入力機器の「pomera」をついに買ってしまいまして、今回はそれを使って電車の中や教室の中で書かせていただいてます。
 バックライトはありませんが明るければ文字も見やすく、キーボードの打ちやすさもサイズにしてはかなりのもの。文章書くのだいすきって方はぜひオススメです。
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テーマ : ポケットモンスター
ジャンル : ゲーム

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Author:ぱすてぃ
ポケモンと百合に熱を注いでいる人です。当面の目標はオリトレの百合長編を書くことですがいつになるやら。

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