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NO.34 “いびき”

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 クチバシティの外れ、“ディグダの穴”と呼ばれる自然の地下道を前にして、私の自転車は早くも休息を与えられていた。
 進むべき道、進みたい道。けれどそこにはたくさんの人が足を止めて居て、彼らに遠巻きにされるように、一つの大きな大きな身体が転がっている。
 カビゴンだ、と気付くのに、やや時間がかかってしまった。寝転がって腹を上下させてるその姿は、こちらからだと頭を窺がうことができないからだ。
 どうやら、この大きな身体のせいで往来が遮られてしまっているらしい。一匹のポケモンに流れを止められてしまうなんて、これだけ大勢の人間がいて情けないものだ。

「こんなの、早く追っ払っちゃえばいいじゃないの」

 人の囲いを掻き分けて、私は迷惑な居眠りにふけっているポケモンの前に出る。スカートのポケットからモンスターボールを取り出して、それを投げようと――

「あ、やめとけ嬢ちゃん!」

 急に呼び止められてそちらを向くと、人だかりの中で一人の中年の男がこちらを見ていた。いや、その周りの人も私のすぐ側の人も、みんな一様に、私の行動を否定する目線を向けていた。それに不快を覚えながら、私は言葉を返す。

「なんでよ、何発か殴れば流石に目覚ますでしょ」

「それがよ、そう簡単にも行かねぇんだ。見てな」

 言うが早いか、その男は地面に落ちていた拳大の石を拾い上げて、勢いをつけてカビゴンの腹目掛けて放り投げた。同時に、集まりを作っている人たちが一様に耳に手を当てる。その行動に疑問を持った直後、私の耳は激音に襲われた。
 空気を掻き毟るような大きく深く鈍い音に、神経が削り取られるような不快感が襲ってくる。
 見れば、眼前のカビゴンの腹の周りが、歪んでいる。音に捻られるかのように。
 男が投げた石も、そこに触れたと同時に捻じ切られるようにして砕け散った。

「……な、なによ今の…………」

 数秒も経たずに音は消え、再び落ち着きが戻ってくる。けれど私の耳の奥では、今の音の残滓が刻み付けられるように残り続けていた。

「一見無防備に眠りこけてる奴の、自動防衛手段ってとこじゃねえか。とにかく近づくとぶっ飛ばされるから、嬢ちゃんは大人しくしてな」

 顔をしかめ、耳のあたりを叩きながら、男がそう言った。
 
「……悪いけど、それはお断りよ」

 今日は今日で、無駄に楽しく過ごせそうだと、そのとき私は思った。

============

・ひとこと

 本当はいつもRPGとかで道を塞ぐブツを見て「横通れよ!」とか思う私にこれを書く資格はそんなに無い気もするんですが、とりあえずお送りします。
 なんとなく、昔からいびきは使用者中心型の範囲攻撃の印象があって、今回もなんかバリアみたいになりました。ゲームとは違ってすげぇ強そうです。空間攻撃くさいです。そもそも空間攻撃ってなんなのかわかりませんけど。
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テーマ : ポケットモンスター
ジャンル : ゲーム

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「ひむろのけずりひ」を使えば起きますよ
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ポケモンと百合に熱を注いでいる人です。当面の目標はオリトレの百合長編を書くことですがいつになるやら。

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