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NO.24 “あわ”

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「こらっ、待ちなさいって!」

 湿った地面を蹴っ飛ばして、私はニョロモの丸い背中めがけてダイブするように飛び掛かった。体ごと抱いて止めるつもりだったけど、思った以上にぬめぬめとしたその体に指が滑って、辛うじで薄い尻尾だけを掴む。
 やっと捕まえたと、地面に擦り付けられた胸を撫で下ろすようにため息をつく。とにかくこれで、手を患わせられるのも終わりだと思ったその時、見上げた頭上に、いくつかの球が浮かんでいた。

「わっ、これ……“あわ”っ!?」

 薄い薄い、外の線だけを見せてるその水の球が、強く照りつける太陽の光で、まるでガラスのように輝きながら、私のほうにゆっくりと降って来る。払おうにも両腕が塞がっていて、私はそのまま、その球を自分の体に落とすほかに手の取り様がなかった。
 ニョロモの口から吐き出されて、背中を通って落ちてきたいくつもの泡は、ガラスのように鋭く割れることはなく、ただ、空気を吐き飛ばして弾ける。別に痛いわけでもないし、このくらいで……って、

「ちょっ、何よコレ、やだっ!」

 泡は、確かに弾けたんだけど。
 弾けた後の水が、なんだかどうにも、宙を浮いてたとは思えないくらい、強い粘り気を含んでいた。地面に伏してる私の体に、脚に、ベトベトと、いくつもいくつも気持ちの悪い水……なのかどうかよく分からない、透明の球が降って来る。
 それが腕の先、ニョロモの尻尾を掴んでる手に落ちた時、私は思わず、手から力を抜いてしまう。するりと、丸く伸びたそれが抜け落ちて、ニョロモの体が私から離れていく。

「あんたちょっと、待ちなさいよコラ! いやちょっと、ホントにコレ困るから、ねぇっ!」

 手を伸ばしても届かないから、脚に力を入れて立ち上がろうとする。なのに、粘りついた液体のせいで上手く動かせなくて、どんどんと小さな背中が遠くに行ってしまう。
 ニョロモを捕まえるとか捕まえないとか、そんなことを考えてられる場合ではなくなってきていた。

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・ひとこと
 
 ……すっげー嫌な泡ですね、これ。
 あわといえば素早さを下げる効果ですが、ただ弾けるってだけではそういう効果は出にくいものかと思ってこんな風にしてみました。
 しかしこう、“あわ”ってすごいシンプルなネーミングですよね。他にもモノそのものが名前になってるものは多々ありますが、これほどのストレート感は中々ありません。なんとなく、初代だったからこそのネーミングだなぁって思いました。いい意味で。
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テーマ : ポケットモンスター
ジャンル : ゲーム

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Author:ぱすてぃ
ポケモンと百合に熱を注いでいる人です。当面の目標はオリトレの百合長編を書くことですがいつになるやら。

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