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NO.77 “かげうち”

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 照明の落ちた部屋。一つだけ備え付けられた窓の外は、海を作り出すかのような大雨を伴った暗闇。黒い視界の中、薄く浮かぶ、一人の女と一匹のポケモン。
 向かい合うポケモン――ミカルゲが一瞬、不定形の口の端を歪めた。一息置いた直後、

「左だチャーレム!」

 俺が声を跳ばすと同時、目の前で軽やかにステップが踏まれる。そして、そのポケモンがもと居た空間を、何かが掠めた。空気が打たれるような乾いた音だけが響く。
 それに違和感を覚えたのは、俺ではない。ミカルゲの放つ薄い光で僅かに照らされた女の顔のほうが、驚きに満ちていた。

「なぜ知覚できたの! 稲光も入らない暗室で、“影”を見切れるわけが……」

「喋ってくれた代わりにこっちも教えてやるよ。“かげうち”だって隠密性に優れるとはいえ、一つのゴーストタイプのワザさ。ちょっと注意して見りゃ、お前さんのミカルゲみたいなあの濃い紫色が纏わりついてる“影”くらい見えるし回避もできる。それだけさ」

「くっ……!」

 悔しそうに引き締まった女の顔が、そのままミカルゲに伝わる。漏れ出たガスのような紫色が、今度は頭上――天井を走っていた。丁寧に壁を伝わせてきたのは褒めてやりたいが、

「屈んで突っ込め。で、“かみなりパンチ”」

 二度ネタをやられても仕方ないので、誰にでも分かる種明かしの時間に入ることにした。

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・ひとこと

 先制ワザなので短めにやろうと思ったらシチュ系になってしまいました。
 分かりづらかったかもですが、イメージ的にはポケモンの持ってる影がぐいーって延びて相手のところまで届いて、そこから影が変形して実体のある拳みたいなのが飛び出すって感じです。真っ暗のところで使えば、ふつうは知覚できない遠距離打撃になるかも、と。
 ゲンガーって確か影に入れた気がするんで、応用すればテレポート的に使えそうですね。本気マツバあたりのバトルスタイルにいかがでしょうか。
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テーマ : ポケモン
ジャンル : ゲーム

NO.67 “おんねん”

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 海洋を乱しながら荒々しく水の中を行く巨体が、吠えた。深い青に染まった身体に走る血脈のような赤の筋が輝くと同時、荒波打ち寄せる崖の上に浮かんでいた、魂の入れ物のポケモンーーヌケニンへと岩の牙が殺到する。それまで巨体の放つ全ての攻撃を逸らしていた光の障壁が抵抗することなく、身じろぎもしない茶の体が地面に落ちる。
 瞬時にヌケニンを倒された少年は、しかし口端に笑みを浮かべていた。
 同時、倒れたヌケニンの背中から、鈍く輝く光の玉が飛び出した。緩やかな、だが素早い動きで、光は海を荒れ狂わせる巨体に吸い込まれていく。

「お前だって、伝説のポケモンってことはポケモンから抜け出せてねぇわけだ。さあ、今のもっかい……撃てねえよな?」
 
 不敵に笑う少年は、乳白色の塊を取り出し、再び戦いの場に呼び戻すべく、それをヌケニンに与えた。

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・ひとこと

 しかし対戦でおんねんが“みちづれ”より有効なケースってどういう場面があるんでしょうね? このワザはぶっちゃけ全ワザPP0とかでもいい気がするんですが。そうすると使った側が積むチャンスを得やすすぎて問題ですかね?
 シチュの話ですが、カイオーガはヌケニン対策に“げんしのちから”はもう古いんでしょうか。しかし「伝説のポケモン」がこの程度でワザ使用不能ってのもアレですよね。ラスボスとかみちづれで一発エンドになっちゃいますし、無効設定はありだと思います。やりすぎると空の軌跡SCみたいになっておもしろくない気もしますが。

テーマ : ポケットモンスター
ジャンル : ゲーム

NO.63 “おどろかす”

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「ね、ねぇ、やっぱさ、今からでも戻……らないよねぇ……」

 ぶるぶると震える声で、わたしは自分の右肩に乗っているププリンにたずねて、その屈託ない笑いを見て、深くため息をついて小さく歩きを進めた。
 まわり、ほとんど真っ暗。妙な煙とおどろおどろしい音がどこかから生まれていて、さっきまでわたしがいた場所とは、まったくの別世界のようだった。もちろん、悪い意味で。
 ……まさかププリンが、オバケ屋敷なんかに興味持つなんて……男の子と遊びに来たりするまで、ぜーったいに入るもんかと誓ってたのに……

「怖くなったら、ププリンにしがみつ……」

 びゅっ、と、何かが横切った。

「ひぃやあっ!! ね、ねえ、今なんか手みたいなのが、手が、手で、ねぇっ」

 涙目になりながらププリンを覗くと、きょとんとした顔でおはじきみたいな赤い大きな目を瞬きさせてる。相変わらず楽しそうなその顔に軽く絶望しつつ、わたしは視線を前に戻す。と、それからすぐ頬を触られた感触が生まれる。一瞬またものすごく驚いたけど、この暖かさと柔らかさはププリンの小さな手だと思って、また私は肩に振り返った。そこには、何か言いたげなププリンの顔…………と……

「ぷ、ププリン、後ろ」

 きょとん、とププリン。その背中越しのところに、いた。

「ひっ」

 周り全部まっくらの通路の中で、薄く紫色にぼんやりと浮かんでるそれは、よく分からなかったけど、とにかく、わたしたちを見下ろすようにして、そこで、大きく大きく、吸い込まれるような大きさの口を開いて――

「いやああぁぁぁっ!!」

 そこがふいに白く光った気がしたけれど、わたしは何も考えられないまま、ものすごい勢いでそこから逃げ出した。


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・ひとこと

 今回更新分はどれもこれもシチュ系ですね? そういう話をやりたかったからかもしれません。どれもこれも、戦闘描写はいまひとつやりづらいってこともあったと思いますが。
 いちおう補足ですが、出てきたポケモンはゴーストです。たぶん背後に忍び寄って、腕だけ女の子の前に横切らせてからワザを使ったんでしょう。怖がらないポケモンとしてププリンを使ってますが、なんかこうノーマルタイプなのでゴースト系=怖い系は大丈夫なのかな、というイメージです。

テーマ : ポケットモンスター
ジャンル : ゲーム

NO.46 “うらみ”

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 黒衣のような体の端に作られた小さな焦げに顔を歪ませたカゲボウズが、重く息を空気に乗せる。吐き出されたその息は、まるで冷やされて白く染まるかのように、瞬時にくすんだ赤錆のような色に染まる。
 腹の底から搾り出された感情に浸したようなその色を乗せ、カゲボウズの吐き出した息は忽ちにガーディ――炎を吐いた張本人を取り巻いた。
 
 ポケモンはその特別な力であるワザを行使するために、体内にワザの効用に変換することができるエネルギーをそれぞれ内包している。この“うらみ”は、恨みや憎しみといった残留しやすい思念をより長く空間に固着させ、なおかつこうした感情がポケモンのエネルギーに干渉するための架け橋として働く機能を持っている。

 その通りのことが、この場で起こった。
 錆付いた息が、覆いかぶさるようにガーディを包む。自慢としている火炎でそれを焼き払おうとしたそのポケモンはしかし、異様な虚脱感を覚え、光が溜まるはずの口内に力を感じないという事実を得ることになったのである。

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・ひとこと

 メカニズム系、なんですが、途中で挟んじゃった感がありますね。
 このワザは特定ひとつのワザのPPを減らすのが本来の効果ですが、私の私的設定では全ワザのPPにあたるものは共有で、つまりRPGのMPみたいなものだということにしていて、そこから直に減らすという方式になってます。
 通信対戦じゃあんまり見ないと思いますが、フレアドライブなどのPP8ワザくらいなら予定よりも早く使い切らせることができる可能性はありますよね。
 そういえば、相手への干渉手段が“へびにらみ”とうらみだけのアーボックを作りましたが微妙感が否めません。噛まない=噛むのがゼロ→「ゼロバイト」というニックネームまで考えたんですが……

テーマ : ポケットモンスター
ジャンル : ゲーム

NO.21 “あやしいひかり”

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 ゲンガーの口が広く裂け、闇を内包したその奥から、輝きを持った球体が発された。
 金色と銀色を行き来するような、奇妙な色彩を持ったその球体の動きは、緩やかな弧を続けて描きながら向かい来る遅いもの。回避するのにさしたる労力も要るまい、とルカリオは判断した。
 引き付けるまでもなく、連続した弧の動きから離れるように、両脚を踏み込んで跳躍する。
 が、その途端、球体はルカリオに引き寄せられるように、弧の軌道を大きく取って引き締まった身体に肉薄した。
 動きの異変に気づくルカリオだが、その時には既に、珍妙な煌きを持った球は青い身を囲むように回転し、捉えていた。
 ルカリオの視界を、一定の間隔で球体が横切る。金と銀と、銀と金と銀と金と金の色合いの流れが、瞬くごとに全く別の色彩のように映り、やがては色彩の認識をやめさせる。そうして次には形の認識をも奪い、勇猛に立つこのポケモンの膝を、地に着かせることになるのである。

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・ひとこと

 書いてから思いました。ザ・あやしいひかりはゴルバットなんじゃないかと。ストーリー中の被弾数は異常です。
 なんとなく、あのポケモンフラッシュっぽいやり方でこんらん状態を招いているという設定に。あの時は小学生でしたが、次の日に教室に副校長先生がその旨で確認に来たのを覚えてます。それ考えると、当時すっごい見てる子供多かったんですよねぇ。
 あれで放送休止になってしまった時はリアルに泣いたのを覚えてますが、『ポケモン・ストーリー』なんか読むと、あれで逆にポケモンの知名度が上昇したという側面もあるみたいですね。何がどう転ぶかわかったもんじゃありませんって私はなんの話をしてるんでしょう。

テーマ : ポケットモンスター
ジャンル : ゲーム

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ぱすてぃ

Author:ぱすてぃ
ポケモンと百合に熱を注いでいる人です。当面の目標はオリトレの百合長編を書くことですがいつになるやら。

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