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No.BW2 “アクロバット”

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 白と朱の球体が、宙を舞った。
 フワライドの平たく長い腕が、掴んでいたチイラの実を真上に投げ飛ばしていた。予期せぬその動きに、速度で圧倒していたウォーグルの目線が一瞬、上に逸れる。
 そこに、薄紫の丸い体が舞い落ちた。上方から吹き付ける風に紫色の全身を預け、流れに身を任せながらも宙を返り、その勢いのままにフワライドの頭が大きな翼を打ち据える。不意の一撃に瞳を剥くウォーグルを尻目に、平たい腕は落ちてきた木の実を鮮やかに捉え、手元にしまい込ませた。

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・ひとこと
 ひょいっ、ぐるん、ずどんっ、みたいな。いろいろな意味でゲームでは出来ない芸当をやってもらいました。空中戦の雰囲気って作りづらいですねぇ。どこに気を使えばいいのか。
 書くとき、ヤナップ他三猿シリーズでもいいかな? とはちょっと思いました。でもジュエルアクロバットの話を聞いてからずっとこういうシーンが頭から離れなかったので、あの方たちの出番はまた今度にします。「やきつくす」「ねっとう」あたりはいいですねぇ。……ずっと後?
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テーマ : ポケモン
ジャンル : ゲーム

No.108 “きりばらい”

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 砂埃が渦を巻いて、嵐のように吹き荒れる。僕達にとって有利に変化させた戦いの場。けれどこちらの足元で地面が盛り上がり、そこから鋭く尖った岩の破片が飛び出して周囲に停滞浮遊をし始めた。堅実な第一手、“ステルスロック”による相手のアドバンテージ作りだ。

「あちゃー、最初に撒かれちゃったわよ? 後から面倒ね、これ」

 僕の横で、彼女がそうぼやく。彼女のポケモン――砂に紛れて姿勢を低くしているガブリアスも、浮かぶ石の刃を鬱陶しそうに見回している。

「大丈夫、これくらいは考えてる」

 けれど僕は、状況に臆さずに彼女にそう伝えた。彼女はアーモンドのような色をした丸い目をさらに見開き、僕に尋ねてくる。

「え、すごい。もしかして、ステルスの打ち落とし練習やったの? 相当器用じゃないと難しいって聞いたけど、キミの子ってそんなに修行したわけ?」

「まあ、見てなって」

 感嘆したような彼女の声音を心地よく感じつつ、僕は手早く、状況の対処に意識を向けた。目の前で背中を見せている自分のポケモンに対し、ワザの使用を命じた。

「グライオン――ガブリアスに“きりばらい”!」

「え?」

 瞬間で、ガブリアスの全身から空気を打ち払うような風が生まれる。その勢いに弾かれるように、浮いていた岩の破片は全て残らず吹き飛ばされて浮かぶ力を失った。成功だ。
 胸を張る思いで、僕は彼女に言葉を掛ける。

「ざっとこんな感じ。さ、とっとと攻撃に――」

「ばっ、バっ、バカじゃないの!?」

 賞賛じゃなくて怒号が飛んでくる。トマトのように彼女の顔が真っ赤に染まっていた。

「……なんかまずい事した? 僕」

 気圧されつつ問うと、細い人差し指がびしっとガブリアスの背中を指す。その背中には、ワザの力である空色の光がまだ残っていて、

「ガブリアスはね、“すながくれ”で避けながら戦えるのよ! グライオンといっしょで! それをキミ、よりにもよって回避力落としちゃうわけ!?」

「……あー」

 ガブリアスくらい強ければ避ける必要もないじゃん、と言うのは、流石に憚られた。

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・ひとこと

 これだけ書くんでも意外に行数消費しますねぇ。ホントはもっと、“きりばらい”後に売り言葉に買い言葉で痴話喧嘩させたかったんですがこのへんでカットです。
 きりばらいって相手のどくびしとかステロとか解除できるから強いじゃん! と思ったら、まさかの「使用対象サイドの」解除という。つまりそのまま使うと自分の撒いたステロが解除されるんですよね。自分らのを除去するときには、上のようにダブルで使うしかないと。そして回避ダウンと。
 いまんとこ、同時に壁とかも消し去る性能があるんで、相手サイドにある有利なものと、自分サイドの不利なものを同時に除去できたりすれば便利ワザになりそうですけどねぇ。あと、天候解除とか。

 ちなみに今回、書き終えてからいらねぇと思ったところを大胆に消しました。「え?」の直後、“きりばらい”使用時に挿入される、ずばりこんな文章。

<腕を交差してトンボを切ったグライオンが、自分の横で構える濃紺の鋭いフォルムに向かって、小さな球状の、空色に染まったエネルギーを打ち出す。それがガブリアスを取り巻いたと同時、グライオンの両腕が勢い良く両側へ開かれた。>

 体とかアクションのプロセスなんですが、省いたほうがテンポ良さそうだったので。このへんの調整がこれからの課題だと思ってます。

テーマ : ポケモン
ジャンル : ゲーム

NO.79 “かぜおこし”

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 大きく向き直って羽ばたきを加速させたポッポの正面に、両翼から発生した風が“集まって”いた。薄い空色の光を帯びた透明の球体へと、空気の流れが次々に溜めこまれていく。
 数秒でポッポの胴体ほどの大きさに膨れ上がった球体が、動作の仕上げとして打ち出された羽根で前方に弾き飛ばされた。
 風の球体が突き進む先に、一匹のオニスズメがいた。流れる空気の異変に気づいたオニスズメは回避の上昇を取ろうとするが、その足下に達した球体が、光を散らして吹き飛んだ。内包されていた強風が、その中心から四方へと暴れていく。突如に生まれた立体的な風の氾濫に煽られ、オニスズメは頭とは逆側の地面に叩きつけられた。

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・ひとこと

 風を起こしてどーやって攻撃するんだろう、という。風の刃とは違う感じですし、結局地面に叩きつける衝撃ダメージ頼りになってしまいましたが、他にも方法あると思います。思いついたらぜひ何かお願いしますー。

テーマ : ポケモン
ジャンル : ゲーム

NO.61 “おしゃべり”

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「さあ始まりましたシンオウリーグ準決勝第二試合、選手の二人はなんと同じナギサシティの出身の知り合いとのこと! 手の内を知る者同士、どう戦われるのか注目が集まります!」

 青空の場内に大きく広がった声を聞きながら、私は一息ついてから視線の向こうに意識を集中した。
 向かい合うあいつの自信ありげな顔と、そのすぐ前で羽ばたいている水色の羽根――ペラップの姿をあらためて捉えた。
 大きな体も強い力も持ってない、頂点に近いこの場所にいるのが意外なくらいのポケモン。けれど、あいつは旅を始めたときからずっとこのペラップと一緒に、これまで数えられないほどの相手と戦ってきてる。今だから言えるけど、あいつのそういうところは結構、好き。
 私はガブリアスの頼もしい背中を前にして、まずはあいつの出方をうかがうことにする。何秒も経たないうち、あいつの方から腕を振って先に指示が飛んだ。

「ペラップ――“おしゃべり”!」

 呼ぶのと同時に、ペラップが横回転をかけながら上昇する。やっぱり、あの得意ワザが来た。あいつの言葉を覚えるせいで口調と音量だけは強くて大きいけど、それで生まれる音波の波動は、このガブリアスのスピードさえあれば避けるのはわけない。だから私もすぐに回避から攻撃を指示しようとして、ふと、あいつの顔に目が留まった。――笑ってる。それも、ものすごく不敵に。この会場のすべての状況を、自分の手の中に入れてしまったかのように。
 あの顔は、ロクなことが起こらない顔だってことを、あたしは知っていた。昨日だってそれで、その、見ようによっては大変な目に遭ったんだから。

「ガブリアス、くぐり抜けて下から――」

 私の、とっさの声。だけど直後に、打ち消すペラップの金管楽器のような大声が、あいつの笑顔の上でポケモンリーグの試合会場全体に響きわたった。

「コノオンナノコノシリ、ホクロガニコアルンダゼッ!!」

 ――は?

 なんか、会場が、騒いでる。その、なんというか、色めき立ったどよめきが観客席の全体を占めていて、いや、ええと、今――
 真っ白になる頭。ぽわぽわと暖まる体。心臓をバクバクと打たせながら見たあいつは、首をひねってから指を立てて、

「……………………記念?」

「殺すーーーーーーー!!」

 ほんっとうにぶち殺すつもりで、私はガブリアスに全力での反撃を命じた。

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・ひとこと

 もはや「ワザ描写」なのかわかりませんが、今に始まったことではありません。使われるシチュをご提供させていただくのもここの趣旨でございます。まあその、女の子のほうがこんらんになったということで一つよろしくお願いできればと。
 おしゃべりで気になることと言えば、録音した音自体を再生するのか、それとも覚えた言葉をペラップが自分の声で言うのか、というところですかね。
 ゲーム的には前者なんですが、それだとせっかくのペラップの魅力的な声が損なわれてしまうので、そのへんはアニメとかのようにしました。つーか前者でこのシチュはさすがに変態がすぎます。私はいっこうに構いませんが。

NO.55 “オウムがえし”

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「エーフィ、狙い撃ちだ、ムウマへ“シャドーボール”!」

 彼の言葉を聞くなり、姿勢を低くしていたエーフィが尻尾を張り、両耳を上下させる。その動作と共に、額で小さく輝く赤い石の前に、紫と黒の絵の具を混ぜ合わせたような色の球が生まれた。頭の一振りと一緒に、そこだけ夜に落ちたような暗い球がこちらに向かって放たれた。かすかに揺れながら飛ぶその球は、不安定な軌道の中でも確実に、宙に浮かぶゴーストポケモンの姿を捉えていた。
 隣に立つ彼女の――あのムウマの主人の対応を待ってる余裕は無かった。あたしは咄嗟に、自分の視界の宙の中に声を飛ばす。

「オニスズメっ!」

 視線の先で、鳶色の羽根がひるがえった。そのすぐ後に、あのワザが持っていた夜のような色が、ムウマのいる場所で辺りに飛び散った。
 いや、動けなくなっていたそのポケモンの、ほんの僅かに手前だ。そこで、あの球は弾け飛んでいた。更けきった夜のような色の中から、傷一つ負っていないオニスズメの小さな羽根と身体が飛び出した。とっさの出来事に、ムウマと彼女が一様に固まってる隣で、あたしは手応えを感じる。
 このまま、行ってしまおう。そう思ったあたしは、すぐさま指示を追加した。

「やって、“オウムがえし”!」

 切り裂いた得体の知れない球の残り香のような、深い色の煙を翼に残して引っ掛けたオニスズメが、その煙を集めるように、羽を頭の前で交差させる。重なりが最も深いところ――尖った頭の前で、色の集まりが生まれていく。
 それは、紫の中に黒をかき混ぜた、あの夜闇のような球と同じものだ。瞬く間にオニスズメの頭よりも大きく膨らんだそれを、今度はあの透き通った赤い宝石めがけて、両方の翼が打ち飛ばした。

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・ひとこと

 今回は、友人とのチャットでアイディアを募って、そこで出た「シャドボ反射」というネタを使わせてもらうことにしました。提供ありがとうございます。
 これにあたってオウムがえしについて調べてみたんですが、相手の能力変化ワザは真似できないっぽいんですね、このワザ。となると候補としては“れいとうビーム”あたりの自分が弱点になるワザを耐えて跳ね返し、とかかなと思ってたんですが、オニスズメの耐久力的にこっちのほうが妥当だったかな、と感じてます。

テーマ : ポケットモンスター
ジャンル : ゲーム

プロフィール

ぱすてぃ

Author:ぱすてぃ
ポケモンと百合に熱を注いでいる人です。当面の目標はオリトレの百合長編を書くことですがいつになるやら。

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