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No.BW6 “イカサマ”

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 ゴルーグが岩盤を掴み取り、左の拳で握りつぶす。直後に右足を踏み込み、左腕を振りかぶる。右足の接地によって地面が振動を起こすのと同時に、左手の甲に描かれた紋様が輝き、力の集中を示す。そうして全身の力が集められ、拳大になり細長く尖らされた石が空中に投擲された。
 ゴルーグにとっては拳大の石でも、投擲を向けられた先のヤミカラスにとっては、それは全身を覆って余りある巨大な岩の矢だ。風を切り裂いて一瞬で迫ったその“ストーンエッジ”から、ヤミカラスは瞬時の羽ばたきによって体を逃がした。僅かに体と岩が擦れあった音が聞こえ、翼の先から黒い羽根がいくらか舞い散る。それを感じた時には、岩の矢は背後の岩壁との衝突を起こしていた。
 わずかだが確実な痛みを受けて、しかしヤミカラスは即座に身を翻した。背後でゴルーグが再び“ストーンエッジ”を作ろうとする鈍い音に怯えながらも、向かうのはただ正面の岩壁だ。
 そこには、今打ち出された岩の矢が突き刺さっている。壁を深く貫いて、削れた土煙とも摩擦の煙ともつかないものを立ち上らせていた。
 ヤミカラスは、傷を受けていない左の羽根に意識を集中させながらその岩に触れる。岩にはまだ、ゴルーグが投擲に利用し、ただの岩を“ストーンエッジ”とするためのエネルギーがわずかに残っている。
 ヤミカラスが行うのは、その力の残滓を辿ることだ。通常であればもはや使い物にならないエネルギーの残りかすだが、自身のワザを使えばその残滓を探し当て、束ね、そして従えることができる。
 岩の槍が一瞬黄土色に輝いて、すぐに今度は、黒い輝きが全体を食うように纏わりついた。ヤミカラスがそれを羽根で叩いたと同時、投擲姿勢を取っていたゴルーグめがけて黒く螺旋を描いた槍が弾け飛んだ。

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・ひとこと

 に、にっこりーーー!!!!?
 ……うわぁ前4月とか。まあ、またお願い致します。

 ワザですが、復帰早々難問に当たりました。相手のワザに使われたエネルギーを飲み込んで、そこに悪エネルギーをまぶして自分のものとして使うという形にしましたが、物理ワザの多くはパンチとか、攻撃物体そのものが残らないのでもうちょっと工夫が要るというか。でも攻撃を受け流して相手に返すとかだと、攻撃そのものがイカサマを使うポケモンに届かない、つまり相手が一方的に損するこんらん自滅みたいになってしまうんですよね。接触物理ワザに対してはカウンターに近い描写になる? ううむご意見お待ちしてます。
 書き終えてからなんなのですが、これはゴルーグ視点にしてヤミカラスがエッジをほいほい撃ち返してくる文のほうが良かったかもしれません。使用者が相手の力を利用して……というイカサマっぽさが出そうなので。
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テーマ : ポケットモンスター
ジャンル : ゲーム

NO.85 “かみつく”

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 平たく空を向く厚い葉に、光が集まっていく。両足を浅い川に埋めたハスブレロは、体に集まる光の熱を水の冷気で中和しながら力を集めていた。
 “ソーラービーム”の威力は、今はただこの川で餌を集めるためだけに振るわれようとしていた。楽な方法を得たものだという面持ちで、口端が歪んだハスブレロが腕を振り上げた。
 その腕に、瞬時に飛び掛かる影があった。痛みが走り目を剥いたハスブレロが、腕に張り付く一匹のポケモンの姿を認めた。
 強めの色彩で二つに分かれた小さな流線型が、己の牙を緑の腕に突き立てている。慌てて腕を振るハスブレロだが、それはより深く牙が食い込む結果しか生まない。
 たっぷり長い時間を置いて、弾かれたようにそのポケモン、キバニアは腕から離れた。思わず川面に尻餅をついたハスブレロは、いつの間にか頭上に溜まっていたはずの熱が消えていることに気づいた。

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・ひとこと
 キバニアさんマジ鮫肌……もまたいろいろ関係無いですが。
 ハスブレロさんとかいたなぁって思い出したので、ソラビをひっさげて出てきてもらいました。こんな感じで悪役側が似合いますが、あえて味方側というのもおもしろいと思います。逆も含めれば、それは全てのポケモンに言えることですが。

テーマ : ポケモン
ジャンル : ゲーム

NO.84 “かみくだく”

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 ジェットスクリューのような加速を得た紺色の流線型が、深い海になお濃い色を走らせる。目的とする青の巨体、ギャラドスの反応を待つまでもなく、サメハダーの両顎が大空洞の喉奥を暴いた。
 開口に同調し、二つの光が巨大な口の前で上下に開く。サメハダーの全身より明るく、しかし闇に近い印象を与える紫の光は、相互に噛み合う突起を明らかにしながら一層、巨大化する。
 その光ごと、濃紺の体は青い鱗に噛みついた。またも同調した上下の光の牙が、まるで棘のついた門扉を閉ざすようにギャラドスの体に突き立てられ、深海を割る叫びが響き渡った。

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・ひとこと

 サメハダーさんマジ鮫肌……でもないですけど今回は。
 ともあれ、種族的にもちょっとスピード感出せてるといいかな、という。ワザの様相を書いてるとすぐ長くなっちゃうんですけどねー。
 実際の牙よりもワザで形成した牙で噛むというのは、いわゆるポケスタ、バトレボ的演出です。いろいろとこっちのほうが、個人的には都合が良かったりもするので。

テーマ : ポケモン
ジャンル : ゲーム

NO.62 “おだてる”

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 バトル場のコートの中で、俺のダチ――この地区大会に選手として出てる――の指示を受けたプラスルが、おもむろにゆっくりと相手のキルリアの前に立ち、短い足を伸ばして背伸びしながら身振り手振りを加えて、ぺちゃくちゃと喋るみたいに高く鳴き声を響かせた。手を大仰に振るごとにぼんやりとした光がそこから生まれて、次第にキルリアを取り囲む。

「なあ、あれ、なんて言ってるんだろうな」

 階段状になった客席の隣に座る彼女に、俺はそんなことを聞く。ウサミミみたいなリボンのついたカチューシャを直したりしていた彼女は目をぱちくりとさせながらこちらを見て、「うーん」とうなって見せてから、

「やっぱりほら、『あなた様のその高貴なお姿、まさに戦場に凛と咲く一輪の花のよう……!』とかそういう感じじゃない?」

 両腕を組んだりしながら演技全開で言う彼女に、俺は呆れる。

「ナンパかよ、それもイマドキ劇でもお目にかかりゃしないレベルの」

「……あーほらほら、ダメだよ! ここ、おだてるところだってば」

「無茶振り好きだよな、お前」

 そんな下らないことを言いながら溜息をついている間にも、言葉と光に纏わりつかれたキルリアの浮ついた足取りを狙って、プラスルが次の行動を取り始めていた。

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・ひとこと

 おだてる→相手にプラス的なことを言う→プラスル  みたいな。
 書いてから気付いたんですが、とくこうの高いキルリアに対してこのワザという選択はおもいっくそ間違ってますよね。別に正しいことしか書いちゃいけないわけではないので、これも一つのキャラ個性かな、ということにしておこうと思いますが。
 
 とかそんなことは割とどうでもよく、ウサミミカチューシャが書きたかっただけかもしれません。それもワザ描写のひとつのかたちです。
 リアルで大学あたりで最初見たとき、夢と魔法の国の気分が抜けきらないままになっているのかと驚きましたが、それから同じようなアレをつけている女性をやたら見かけてびっくりしました。これとカンカン帽が今の女性の頭装飾の流行だと認識してるんですが間違ってないでしょうか。私もカンカン帽のほうはけっこういいんじゃないかと思います。よし余談のほうが長くなったので任務完了ということでこれで終了します。

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NO.60 “おしおき”

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「“つるぎのまい”、もう一度やって」

 私の声を受けたエンペルトが、大きくも先鋭的な体を優雅に舞わせ、その腕の先端に灯る光をより鋭くした。と、対面する彼女の口の端が、にやりと吊り上がる。

「こーのときを待ってたわけ! キリンリキ、“パワースワップ”いっちゃって!」

 今こそ勝機は我にあり、と言わんばかりにほころび膨らませた顔で、彼女は細い指で自分のポケモンを勢いよく指す。すぐにキリンリキは、振り向けた尻尾の先にある影のような口……なのかよくわからないけれど、とにかくあの顔の裂け目から赤い球をいくつも吐き出し、瞬く間にそれはエンペルトをすり抜けてまたキリンリキのもとへ戻っていった。
 同時に、エンペルトの腕を覆っていた鋭い光――ワザが乗る力を増幅させる光が消えていた。いや、持っていかれていた。あのキリンリキの元へ。

「や、やったやった! これでもうあたしの勝ちだ!」

 今の作戦がよほど上手く決まったからか、彼女は喜びを全身から放ちながら飛び跳ねる。時間を掛けて大幅に高めた力を、一瞬にして丸ごと盗み出すことに成功した彼女とそのキリンリキを見据え、私は静かに言った。

「まったく、悪い子ね」

「んふふー、今日だけはいい子やめてるからね! ……ってあれ、どしたの、顔がなんだかえっと、怖いような」

「ううん、なんでもないわ。ただ……そう、ただ」

 右手を捻りながら指を鳴らす。乾いた音が響くと同時に、私のエンペルトの姿が、瞬時にキリンリキに迫った。
思わず、という感じで仰け反ったキリンリキに対して、エンペルトは幅広の剣のような腕を振り上げる。私もまた、驚いて跳びのいた彼女に、こう言った。

「悪い子には、“おしおき”が必要よね?」

 キリンリキに持っていかれた“つるぎのまい”の光に、まるで応えるかのように。エンペルトの腕が、青の縁取りまで全て黒く染まりきり、鞭打つようにしなりながら叩き落とされた。

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・ひとこと

 エンペルトの腕フェチの私による、何度目かのハイパーエンペルトタイムです。相変わらず策略に優れる設定です。なんか3つくらいのワザを書いてる気がしますが、とりあえず“おしおき”です。
 と、今週はもう4つめですね。これはひとえに、新規購入したポメラのチカラです。移動中どこでも打ててしまうアレと短文中心のこのサイトの相性は、すごくいい気がします。

テーマ : ポケットモンスター
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プロフィール

ぱすてぃ

Author:ぱすてぃ
ポケモンと百合に熱を注いでいる人です。当面の目標はオリトレの百合長編を書くことですがいつになるやら。

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