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No.BW3 “アシストパワー”

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「おらおらおらァっ! 出すもんさっさと出しとけよォ!!」

 目深に被るフードを持つ装束に身を包んだ男が、薄桃色のポケモンに幾度となく蹴打を行っていた。高揚感をはらんで張られた声と共に、丸みを帯びた体に鈍い衝撃が走る。うずくまるように身を丸めたポケモン――ムシャーナは、きつく目を閉じて宙に浮かび、その場から動かずにいた。全身を淡い光が包んでいたが、蹴りの勢いは衰えることなく叩き込まれていく。
 その傍らに、一人の少女がいた。少し前にこの場に足を踏み入れ、目の前の光景を目の当たりにしたその小柄な少女は、唇を動かそうとして躊躇い、しかしやがて、意を決したように声を出した。

「や、やめ――たほうが、いいんじゃないかなぁ?」

 声の調子は、存外に軽いものだった。

「あァっ!?」

 フードの男は、少女の声に苛立ちを覚えて叫びで潰す。腹いせ紛れに、更にムシャーナに蹴りを加えた。が、

「あっちゃーぁ」

 少女は額の上あたりに手をやり、怯えを見せない態度と声音で反応を示した。その様子に、男が声を爆発させた。

「んだコラガキがァ、文句あんのかァ!!」

「文句はないんだけど、疑問がある、かなぁ?」

「っざけてんじゃね――」

 男がポケモンから少女の側に向き直り、掴みかからんと歩を進めようとする。
 その直後。男の背後で、甲高い音が響いた。疑問を感じで男が振り返る。
 そこには、ムシャーナが居た。目をこれ以上ないほどに見開いて、その瞳に光を一杯にため込んだ状態で。
 次の瞬間には、爆発音と共に男の体が猛烈な勢いで空中を舞っていた。

「あ」

 口を丸く開けた少女の頭上を、叫び声すら上げない男が一瞬で通り抜けていく。数秒を置いて、木の葉の擦れる音に混じった衝撃音が一面を揺らした。
 
 静寂が戻る。少女は苦笑いをしつつ、どこか調子良さげに独り言をつぶやいた。

「あなたの蹴ってるムシャーナ、どっからどう見ても“めいそう”使いまくってるけど、対策はしてあるの? ……って疑問、だったんだけどぉ」

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・ひとこと
 ※ベルさんではありません。
 「この ローキックよ ムンナに とどけ!」とかあるらしいですが、エスパーポケモンに蹴り入れたりすんのって結構怖くないですかね? まぁ、ムシャーナって温厚な性格のが多そうだからこの男も強気で出たんでしょうけど、ワザってもんを持ってるポケモンという存在に安易に手を出すのは結構おすすめできない気がしました。
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テーマ : ポケモン
ジャンル : ゲーム

NO.70 “かいふくふうじ”

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 “ジャイロボール”となったドータクンの全身が、フーディンの軽い体を強かに弾き飛ばした。相性の悪い一撃とはいえ、重量と回転速度が生み出す突進は致命打になりかねない威力となっていた。
 念動力により、壁への衝突をどうにか回避したフーディンは、すかさず両手に持つ銀のスプーンを掲げ、崩れそうな身体の中で瞳を閉じる。直後に、フーディンの体を幾つもの光の小球が円環の軌道で取り囲み始めた。取り込むことにより、失われた体力を呼び戻す“じこさいせい”の光だ。
 だが、突如としてその光の円環が動きを止めた。僅かに震えたその球が、間を置かずに砕け、粒子となって四散する。異常と言える事態に、満身創痍のフーディンは、それでも鋭さを残した瞳で正面を睨めつける。
 そこに、釣り鐘型の体から伸びる、交差された青銅の腕が浮かんでいた。斜めに傾けた十字を形作っているその腕が赤く点滅しているという事実は、フーディンの脳に戦闘の続行が不可能であるということを即座に判断させていた。

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・ひとこと

 まあ今時分フーディンに回復とかアレなんですけどね? とりあえずなかなか描写が厄介なコレでした。
 いちおう制限時間があるため、異様な回復力を持つボス格に有効打を与える時間を作る、みたいな展開もたぶんできます。すぐ掛け直せるのがネックといえばネックですが、ボスだってかいふくふうじ使うヤツを真っ先に狙うでしょうしね、ふつう。

テーマ : ポケモン
ジャンル : ゲーム

NO.68 “ガードスワップ”

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 “てっぺき”によって補助の防壁を形成したクチートが、その証拠として銀色に輝く衣のような靄に身を包んでいた。
 守りを固めた相手に対し、しかしキリンリキは猛然と直進する。繰り出した脚の連続が乾いた音を立て、長く伸びる首が風の抵抗を退けるように低く構えられたまま、疾風のようにその体がクチートに迫りーーその脇をすり抜けた。直前で走る軌道を逸らされたことに慌ててクチートが振り返る。
 その時には、小さな体の眼前に、黒く染まった顔が迫っていた。キリンリキの尾として伸びるその顔は、クチートの前で裂けんばかりに口を開き、その牙が即座に噛み落とされた。
 だが、牙が剥かれたのはクチートの体ではない。その周囲を揺れながら覆っていた、銀色の煙だ。為すすべもなく、靄が噛み砕かれ、黒い口に吸い込まれていく。
 時を置かずしてその銀色の靄はキリンリキの全身に回り、その主が入れ替わる。それを満足に思うような嘶きを上げながら、キリンリキはクチートを背に前進を再開した。

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・ひとこと

 キリンリキ△(さんかっけー)な今回。パワスワとは違ってガースワはいまいち使いどころが分かりませんね。使用者も少ないですし。
 “スワップ”なので、両者の状態を入れ替える描写が必要だったかもしれません。黒い口が食った後に自分の能力変化を吐き出すような感じでいいですかね。

テーマ : ポケットモンスター
ジャンル : ゲーム

NO.36 “いやしのねがい”

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 両手を組み合わせたピッピが、丸い瞳を閉じ、俯く。
 祈るような姿をとったその身の周りに、雪のように白い粒子が渦巻いた。足元には光の波が幾重にも重なり、粒子は身体を巡るようにしながら空へと昇っていく。
 それが高空で留まり、細やかな粒子はやがて、一つの大きな球と化した。
 暖かな光を放つその塊を仰ぎ見て、ピッピは安らかな面持ちのまま、四肢の力を失い地に伏した。

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・ひとこと

 シチュエーションが作りやすいワザだと思いますが、時間の都合ということで、すっきり版で行かせていただきます。
 本文にて空中に球ができましたが、後はこの球が対象者に落ちて回復、って感じですかね。一応ですが、コレを使ったからといって死ぬって事はないと思います。ワザに必要なエネルギーを超大量に消費してしまうため、一時的に気絶してしまうっていう解釈が割と普通かなと思います。
 個人的には、他者を回復させるという所業は、たとえ不思議パワー発現しまくりのポケモンのワザにおいてもタダで許されることではなく、エネルギー消費ではなくワザの性質として自らに代償を要求される……とかでもいいかと。“タマゴうみ”とかもフィールド使用時は自分のHPが減りますよね、確か。

テーマ : ポケットモンスター
ジャンル : ゲーム

プロフィール

ぱすてぃ

Author:ぱすてぃ
ポケモンと百合に熱を注いでいる人です。当面の目標はオリトレの百合長編を書くことですがいつになるやら。

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