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No.117 “くろいきり”

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 サクラビスの薄桃色の細長い体が光となって消え、光輝くバトンが置き土産のように中空に残された。新たに飛び出したルクシオが、ボールからの出現の跳躍を利用し、そのバトンを咥え、柔らかく噛み砕く。バトンは紙吹雪のように薄く散る光へと姿を変え、ルクシオに速さと力の加護を受け継がせた。溜めていた電流が増幅され、小さな稲妻が体毛から迸る。即座に下されたトレーナーの指示のままに、ルクシオは突撃を生んだ。
 前進するその視線が突如、黒の色に覆い尽くされた。距離が迫る相手、オクタンの口から放たれたそれは、煙幕に思え――だが、底冷えする冷気を孕んでいた。放つオクタンの姿すら見えなくなるほどに、濃く広がる。その黒を切り裂いて進むルクシオは、不意に加護が失われ、自らの力と速度が削られていたことを自覚した。

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・ひとこと
 能力低下系も難しければ、無形のものが広がる描写もわりとやりづらいんですよね。もくもくと広がっていく感じをどう表せばいいのか。テンポの問題もありますし。あ、バトンタッチの描写はついでです。え? なに? そっち主流っぽい? いつものことです。
 あまり使わないので、このワザはこおりタイプだということはついつい忘れがちです。ゴルバットあたりのイメージが強いことからも「煙」の印象が強いんですが、霧なので多少はひんやりとしていそうですよね。
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テーマ : ポケモン
ジャンル : ゲーム

NO.57 “オーロラビーム”

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 ジュゴンが牙の奥から放った光の塊は、深い海の色や夕暮れの色、照りつける太陽の色などを様々に交えながら、氷が突き立った足場を望む上空を羽ばたいていたピジョットの翼へと飛ぶ。光が進んだ軌道には虹のような色彩が残り、白一色のこの地帯を華やかに彩った。
 光の存在に気づいたピジョットは、すぐさま下降の姿勢を取った。速度には優れない虹色の光を回避することは、大きな翼を持つこのポケモンにとって難しいことではない。
 その意図のとおり、ピジョットは光の筋を悠々と潜ってみせる。そのまま反撃に移ろうと嘴を閃かせたとき、しかしピジョットは自らの体に違和感を覚える。
 翼に、体に、力が篭らなかった。原因を探るうち、ピジョットは自分の身を取り巻くように、薄緑と鮮やかな赤の光の幕が生まれていることに気付く。
 それが、先程回避して見せた虹色の光線が通った軌道から、垂れ落ちるように作り出されていたものだと把握したときには、眼前に再び七色の塊が迫っていた。

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・ひとこと

 ヒマだったので出先でさくっと、久々にやらせていただきました。
 オーロラってんで発生現象とか調べてみようと思ったんですが、ええ、意味不明でした。ぷ、ぷらずましーと?
 ってなわけで、カーテン的なものが生まれるってところだけ使ってます。それがこうげきダウンの追加効果になってるという。虹色の光線の本体にもその効果はありそうですけどね。

テーマ : ポケットモンスター
ジャンル : ゲーム

NO.22 “あられ”

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 そのトドグラーは、今にも動かなくなってしまうのではないかと思うくらい、全身から力を失った様子でそこに蹲っていた。口の周りに生やした双の髭も垂れ下がり、顔は深紫に変色すらしている様子が窺がえる。
 どうしてこれほどまでに体力を失ったのかは、わからない。けれどとにかく、私はこのポケモンを助けなくてはならない。
 だが、ここは浅瀬にできた洞穴の奥深く。私の持つポケモンでは、トクサネのセンターに運ぶまで時間が掛かりすぎる。何よりもまずいことに、昨日のジム戦でキズぐすりや木の実の類をほとんど失くしてしまっている。少しでさえ、このポケモンの体を癒せる道具は持ち合わせていなかった。
 いくら野生で生きるポケモンだと言え、見捨てることなんかできやしない。今ここで諦めたら、この後悔は旅を終えても残り続けるだろうと思う。
 だが、見つからない。万事急すか、と、私は自分の無力さを痛感した。

「ねぇ、嫌だよ……。私、これじゃあ……」

 何もできないことが分かりつつも、洞穴の地面に倒れるようにしているトドグラーの背に、手を触れる。暖かい、というより、生温かった。普段であればもっと、凍るような冷たさを纏ったポケモンだと聞いていたのに――

「冷たさ……? あっ!」

 思考が、急速に回転する。寒さと恐怖と無力感で動かなくなっていた手を、それでも無理矢理、腰のボールに伸ばして掴み取った。すぐさまそれを放り、叫ぶ。

「ポワルン、“あられ”!」

 姿を現した私のポケモンが一鳴きすると、その周囲、トドグラーの体も囲むように、地面に白い線が走った。同じ色の小さな円が、その頭上にも生まれる。
 頭上にできた小さな円が、一瞬だけ光る。一息あとには、光は幾多もの欠片に変わっていた。
 色を持たない透明の、小さな礫のような、氷の欠片。宙で作られたそれが、地面の白い線の中に落ちるように降り注ぐ。次第に、私は肌が感じる温度が一層低くなってきたことを感じ取る。
 背を向けるポワルンを、白い靄が包む。中から現れたのは、雲のような灰色に包まれた、先ほどと違う姿の私のポケモンだ。だけど、今はそれを気に留めていられない。
 
 次々に生まれては落ちていく、小さな氷の流れ。その先には、わずかに身を震わせて伏している、あの氷のポケモンがいる。

 祈るような気持ちで、事の推移を見守る。学んだ知識が正しければ、確率は、五分五分だ。
 透明の氷が、地面に落ちて音を立てる。それが重なった高い音も鳴る中で、水色の体に落ちた氷が、そこでその姿を消しているのを、私は見た。
 生まれて落ちる氷の欠片が、トドグラーの体に当たったものだけ、そこで白く輝いて消える。まるで、横たわる巨体に吸い込まれるように。

 もしや、と思った直後、ほとんど動きを見せていなかった体が、一度、大きく震えた。それで終わらず、地面に着いていた顔が、揺らぐように持ち上がる。抱え込んでいた紫色を、もう一度空色に染め直しながら。
 やがてその頭が上向きになるまで上がり、髭が張りを持つようになる。そうしてから、トドグラーは一度、喉を震わせて鳴いた。

 洞穴の奥にも入り口にも届きそうな、その震えを聞いた途端。私の中で張り詰めていた鉄のような糸が、ぷつりと音を立てて切れた気がした。

「よかっ…………たぁ……」

 おぼつかない足取りで近付き伸ばした手で触れたトドグラーの頭は、驚くくらい冷たかったけど、その驚きは、さらなる安堵へと変わっていくのだった。

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・ひとこと

 あら、長いですねこれ。しくじりましたか。
 ま、たまには(?)こんなのも。どのポケモンを使おうか迷いましたが、せっかくなので特性を描くことも兼ねてコイツらにしました。ポワルンスルー気味で涙目ですが。
 私の中のイメージとして、天候変化ワザは使ったポケモン、または指定地点を中心とした円周を範囲としている印象があります。ポケスペとかでもそんなだった気がしますが。
 つまり、バトル場次第では天候状態の影響を受けない場もある、という感じです。どのくらい大きくできるのか、とかはポケモンの力量によって変わるとか。 
 「天候なんか変えちゃったら周りに超迷惑じゃねーか!」という問題をなんとかしつつ、天候の内外をキープして戦うなど戦略的なバトル描写をするのに都合の良さそうな設定です。残りの天候ワザ編では、そういうのを書いてもいいかもしれませんね。

テーマ : ポケットモンスター
ジャンル : ゲーム

NO.4 “アイスボール”

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静寂を敷き詰めた白い雪原。なだらかな傾斜を行っている雪の坂を、転がり落ちる動きがあった。空の色を湛えた透明な球体だ。
透き通った氷で形成されたその球は、広がる静寂を崩さず、自らよりもはるかに高い背を持った針葉樹林に蹴飛ばされて砕けないように、ひそやかにただ白い道を通り抜けていく――ように見えた。
ややあって、そこに音が生まれた。雪の降り積もる地面と深く接していることを示す、小さな音だ。
そのくぐもった音が、ややあって、次第に、ゆっくりと、しかし確実に、大きさを増していく。薄く透明だった氷球が、白に包まれている。
増しているのは、音だけではない。雪の斜面を流れるその速度も、時間とともに速まっていく。より早く速く雪原へと接し、白いカーペットの上を転がる音が重積していく。
そしてついに、氷球は自らの走る純白の絨毯を、自分の身へと強く巻きつけることを始めた。音が大きく、転落が速く、そしてその身が大きくなる。
始めは樹の根につまづいて壊れそうだった透明の球が、今や深山に連なる岩石のごとき威容を得て、なおかつ止まらず、肥大していく。
我が物顔で雪原を転がり落ちる、成り上がりの権力者。その横暴を止めるかのごとく、氷球の眼前にひときわ大きな一本の樹木が、その身をもって立ちはだかった。
もはや豪速の砲弾とも呼べそうな白い球が、そこへと一直線に落ち、衝突する。地鳴りの音と衝撃が渡り、辺りにいたポケモンたちが、驚きと怯えの様子で、雪の樹と雪の球の激突を目にした。
彼らの視線の先、音が終わるころ。微動だにしなかった両者のうち、受け止めた巨体が、雪原にそびえる針葉の巨木が、ゆっくり、ゆっくりとその身を傾いだ。
揺らぐ。そして、倒れる。
先ほどの衝突よりも尚強い衝撃に、羽根を持つものは空へと逃げ、足を持つものは雪原の奥へと抜けていった。
自らを妨害するものを倒し、自らを観察していたものを退け。満足したかのように、白の氷球はふたたび、速度を得るべく雪原を転がり始めた。自分の限界を知る、その瞬間を求めるかのように。


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◇ひとこと
大学でヒマができたので、そっちで書いてうpった第4回目です。こういうのが柔軟に行えるあたり、ブログはやはり便利ですね。
して、なかなかマイナーな今回のワザですが、ちょっと長くなってしまいましたかね?
今回の特徴はなんでしょう、使用ポケモンが出てこないってとこでしょうか。誰がなんのためにやらかしたのか知りませんが、どっかで落ちたりして止まらないとすっごい迷惑というか危険ですね、これ。
雪原とか、ダイレクトに雪とか氷をくっつけられない地形だとどうなるんでしょうね?個人的には、ワザを放ったポケモンが冷気とかを徐々に吹きかけていくのかなー、なんて思ったのですが。

テーマ : ポケットモンスターHG・SS
ジャンル : ゲーム

プロフィール

ぱすてぃ

Author:ぱすてぃ
ポケモンと百合に熱を注いでいる人です。当面の目標はオリトレの百合長編を書くことですがいつになるやら。

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